今国会で法改正の予定をしている安保法制の中身について

2015.03.23.09:00

新暦3月23日(旧暦2月4日 戌)


今国会で法改正の予定している安保法制の中身について

現政権は、消費増税、TPP交渉参加、秘密保護法(強行採決)、など、現在、自公で3分の2といわれる安定多数の中で、さまざまな法改定を行ってきました。
この議席をもとに、公明党に圧力をかけ、今後もさまざまな法改定をしていく可能性があります。

法改定のスケジュールとして、安保法制の与党協議の合意期限を3月下旬としており(すでに3月20日に合意との報道)、法案の国会提出を今年のゴールデンウイーク明けに予定しており、かなり期限的には迫っているため、昨年の手続き自体、法的に疑義が出ているところですが、(国会の審議もしない閣議決定で、憲法解釈を変えられるのかなど)、外国の戦争にわざわざ巻き込まれ、軍国化に追い込まれかねない改定に、国民も注視していく必要があります。
(武器や原発の輸出を促すのは、安倍自民党に献金している軍事関連企業等の権益を広げるためという側面があります。
 11月に安倍首相は、日本の軍事関連企業26社を連れてイスラエルでイスラム国に対抗する旨の演説をした後、人質が殺されました。最近もチュニジアで3人殺害などのニュースがあります。その一方でオバマ大統領は11月のイスラエル首相との会談をキャンセルしています)
以下に法改定関連の情報を示します。

○安保法制改定に関する今後の予定について
 自民、公明両党は3月20日、集団的自衛権の行使、米軍や他国軍への後方支援など自衛隊活動を拡大させる法制の骨格について正式合意しました。これを受け、政府は法案作成を本格化させます。

 これは4月末に自衛隊と米軍の役割を定める日米防衛協力指針(ガイドライン)にも反映させます。(注:自国民を犠牲にしたくない米軍の役割を、今後自衛隊に負わせていくと米戦略論文などで言われている)

以下法改定の内容
○集団的自衛権について
各新聞社で、自衛隊法の改正法案が3月6日に判明したとの報道がありました。
現在、日本は、石油については、アラビア半島近くのホルムズ海峡が主要な輸送ルートとなっています。
(70年代に田中角栄は、日本の資源について、石油をインドネシアやソ連から供給しようとしましたが、米国資本がこれに激怒し、失脚したとも言われています。その結果、現在でもエネルギーを米国資本に依存し、安全保障上よくないと言われています。)

・機雷除去の意味
これについて、安倍首相は、昨年7月14日の衆議院予算委員会の代表質疑で、ホルムズ海峡で紛争が発生し機雷(海の地雷)が仕掛けられた場合、その段階で日本にエネルギー危機が発生したと言え、わが国の存立が脅かされ国民のの権利が根底から覆される事態が生じうると述べています。

そして、武力行使の新3要件を満たせばホルムズ海峡の機雷の掃海活動は可能になるという認識を示しています。

新3要件とは
1,日本と関係のある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされる危険があること
2,国民を守るために他に適当な手段がないこと
3,必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
を言いますが、これらがどこまで自衛隊法に明記されるか自公で調整中です。

首相は、これらの質疑で、「機雷を除去するだけなのに」と述べたそうですが、国際法では、ある意図を持って置かれる機雷は武力行使の一つとされており、それを除去することも当然、武力行使だと見なされます。(戦闘行為を妨害しているから)

このため、自衛隊が紛争地域の機雷を取り除こうとすれば、攻撃を受ける可能性は十分にあり、これに自衛隊が反撃等すれば武力紛争に発展しかねない状況になります。

また、実際はパイプラインの完成により、ホルムズ海峡を迂回して石油を運ぶことは可能で、日本は、大きな備蓄を抱えている(約6ヶ月分)ので、その間に輸入先やルートを変更する方法もあり、これをもって国家存立を脅かされる危機的状況とするとは言いにくい状況です。

現に、3月17日の参議院予算委員会の基本的質疑で、安倍首相は、「一切、ホルムズ海峡を通る石油やガスが入ってこないとなれば、機雷の除去には備蓄を上回る日数を要するという指摘もあるなかで、大きな衝撃がある」
と言っていますが、
「一切、ホルムズ海峡を通る石油やガスが入ってこない」という前提が、そもそもありえないですし、「衝撃」という、あいまいな表現に変えているのも、政府はそれを認識していると考えられます。

また、日本は、過去にこの機雷除去で戦後犠牲者を出しています。1950年10月の朝鮮戦争中には、米国極東海軍司令官の命令で、日本掃海部隊が朝鮮半島沖合で機雷に接触して沈没し、1名死亡(中谷坂太郎さん)、18名重傷という犠牲者を出しました。そしてこの事件は憲法9条に抵触するため、昭和53年まで極秘扱いでした。
(逆に言えば、憲法9条があるため、このような事件がそれ以上起こらなかったとも言えます)

・グレーゾーンの意味
憲法9条の解釈改憲、すなわち集団的自衛権行使をするため、安倍政権は「グレーゾーン事態」というこれまで平時として扱うべき状況(外交交渉などで取り組む段階)でも自衛隊が出動できる改定をしようとしています。

グレーゾーン事態とは、民間人が武装するなど、海上保安庁の装備で対処できない場合を指しますが、今回、国会承認は事後で、関係閣僚が電話で自衛隊出動ができる改定をしようとしています。
(実際に戦闘状態に入れば、後で国会が否決しようが歯止めはきかなくなる。

これまでの、他国における集団的自衛権の行使事例は、ほとんど全て、これまで米ロが各国の動乱・内乱に介入し、侵略などするものでした。
(ハンガリーへのソ連侵攻、ベトナムへの米軍侵攻、アフガンへのソ連侵攻、イラクへのアメリカ等の武力行使など)
(注記:そもそも、「集団的(集合すること)」と「自衛(自分の力で自分を守ること)」という言葉は考え方が矛盾するのではないかと思われます。「自衛」という言葉に、積極的な侵攻の意味はありません)

これまで、このような緊張状態の際は、話し合いや相手の意思確認など外交努力で解決しようとするものでしたが、大臣たちが電話でグレーゾーンと認定し、他国の民間人を自衛隊が攻撃すれば、相手国も軍隊を出動させる口実を得られます。

つまり、先の機雷除去をきっかけに戦闘行為に入る可能性は高いですし、グレーゾーンの認定によっても、現在アメリカで主導されている中東や中国での戦争に巻き込まれる可能性が高くなってしまいます。

○自衛隊による邦人救出について
安倍政権は、1月29日の予算委員会で、イスラム国の人質殺害事件を受け、人質奪還等の邦人救出に自衛隊を派遣できる法整備に意欲を示しました。
実際問題として、特殊部隊による救出は、米軍でも至難なことと言われています。(実際は水面下の交渉で解決することが多い)
また、国家間の戦争は、邦人救出・保護のを口実に起こされることも多くありました。(現在のイスラム国への空爆もそういう面があります。犠牲になる者のほとんどは、テロと関係のない、一般市民です。そこで、空爆国への恨みの連鎖が起こります)

邦人救出の法整備の狙いは、自衛隊の海外派遣恒久法の制定で、特別法によらず、国連の安保理決議を条件としない海外派遣法を目指しています。

7月14日予算委員会で横畠裕介内閣法制局長官は、内閣の判断で、地球の裏側で戦争を始めても、憲法上の制約は「法理上」ないと答弁しています。
(これは関係法で、「安全保障」という言葉を入れれば、外国との条約の問題となり、憲法による判断が入らない、という砂川裁判の判例等によるものかと思われます)

また、今年2月2日の衆院予算委員会で、安倍首相は、同盟国が他国に先制攻撃をした場合も集団的自衛権の行使ができ、その地理的制約はないと答弁しています。
(例えば、最近のアメリカのシリア爆撃にも自衛隊が出動できることになります。
そうなれば、今後、アメリカの派兵要請を断れなくなることも予想されます)

○日本版FEMA(フィーマ)の創設について
2月3日の参院予算委員会で安倍首相が、緊急事態管理庁(日本版FEMA(フィーマ))の関連法案を「今年度内をめどに成案を得たい」と述べた。

FEMA(フィーマ)とは、有事の際に自衛隊や警察、海上保安庁、消防などを動員するための権限を緊急事態管理庁に一任し、国内の治安強化万全にするための組織とされるが、
アメリカのFEMAは国内の内乱や暴動鎮圧も視野に入れている組織で、最近では関係機関が大量の市街地用の装甲車を購入したとの情報もあります。
(FEMA(フィーマ)は国内の治安強化として、「市民を押さえるための部隊」という側面を持っている)

政府が今後、市民運動を暴動やテロと認定し、鎮圧する可能性も否定できません。
自民党石破茂前幹事長は、昨年11月29日に自身のブログで、特定秘密保護法案反対運動のシュプレヒコールを「本質においてテロ行為と変わらない」と発言しています。

高市早苗前政調会長は、昨年8月28日の党PTで「(デモの音量が大きく)仕事にならない状況がある。仕事ができる環境を確保しなければいけない」と発言するなど、デモとテロを同一視するような発言をしています。

新聞でも、イスラム国による人質殺害事件の際、テロは許さないとする政府を批判すると、それはイスラム国寄り発言として、列挙し、批判自体がテロの容認のように扱う記事などもありました。(産経新聞2015年2月4日など)
また、最近でも、マスコミが安倍首相のカイロ演説などを批判することはほとんどありませんでした。

○防衛省改正案について
・防衛装備庁新設
安倍政権は昨年4月1日、憲法9条に基づき、武器輸出を禁ずる「武器輸出三原則」を撤廃し、武器や関連技術の輸出を包括的に解禁する「防衛装備移転三原則」を閣議決定しています。

また、政府は、武器や装備品の輸出や購入を一元的に管理する1800人規模の「防衛装備庁」を、2015年10月をめどに発足させるそうです。
これが日本が海外の紛争を助長しかねないとの指摘もあります。

学習院大の青井未帆教授(憲法)は「防衛装備庁を新設し、組織一丸で武器輸出を拡大すれば、憲法の平和主義の根幹が崩れる。武器輸出三原則を、国会の議論や承認もなく閣議決定で変更したことがそもそも不適切」と指摘しています。
(東京新聞2015年3月5日)

・武器輸出の解禁、安倍政権と軍産企業
安倍首相は、今回のイスラエル訪問で26社の軍事関連企業と外遊しており、安倍政権は軍事、原発関連企業との関連が密接と言われています。
武器輸出が安倍政権成長戦略の裏メニューと言われている。トップセールスも行っている。

安倍晋三首相が2013年4月から今年1月にかけて行った外遊に同行した軍需企業11社が、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に2012年の1年間で、計約1億円の献金をしている。(国会答弁にて)

また、最近では首相が代表を務める自民党山口県第4選挙区支部は2013年に「宇部興産」から50万円、「電通」から10万円、12年に「東西化学産業」から12万円の献金を受領したとの報道があった。(時事通信2015 年 3 月 3 日)
 2013年7月3日の党首討論では、日本建設業連合会(日建連)に対し、「4億7100万円」の金額を明示した文書で献金を要請していたことも発覚した。(毎日新聞)(安倍政権で公共事業発注が増えたのはこういう背景もあるとも考えられる)

「週刊朝日」2014年5月9・16日号「規制緩和の本当の狙いは武器輸出」と題した記事では
「安倍首相の外遊に同行した原発・防衛関連企業は、どこも自民党の政治資金団体である『国民政治協会』に、毎年のように数百万~1千万円超の献金を行っている」と記載。

4月18日には小野寺五典防衛相が会見で、武器輸出三原則の撤廃について、米国企業から三菱重工に地対空ミサイル「パトリオット」の部品を輸出するよう要請がきていることを明かしたことに関して、ある防衛産業幹部は「武器輸出三原則のおかげでわれわれは長年、宇宙・航空分野で国際競争から取り残されていた。自民党国防部会などへの陳情が実を結び、ようやく大手を振ってビジネスができる」と述べた。

(実際、アメリカの軍事費は、国債費などを引いた自由裁量予算の半分以上を占め、福祉・医療・教育が相当な圧迫を受けています。皆保険はできておらず医療費は破格(盲腸で約300万円)ですし、学校のトイレットペーパーなどもPTAの寄付に頼っている状況です。「戦争中毒」きくちゆみ著等より)

○文民統制の廃止について
文官統制の廃止(防衛省設置法改正案。今国会での成立を予定)については、概要が判明したのが2月下旬で、3月6日に閣議決定しました。(ほとんど議論の時間がなく閣議決定)

文民統制については、これまでの防衛省設置法で、幕僚長に指示等をする際、官房長等の文官が大臣を「補佐する」としていましたが、今回文官、武官が「対等に補佐する」と改定されました。

また、部隊運用についても、計画作成して大臣決裁を得る権限が統合幕僚へ移行し、作戦計画の文官チェックが弱まりました。

・特定秘密保護法について
特定秘密保護法は、「防衛」「外交」「スパイ活動防止」「テロ防止」の分野、55項目について、秘密漏洩が日本の安全保障に著しい支障を与える恐れがある情報に関し、「必要最小限の情報を必要最小限に期間に限って」指定するとしているが、昨年11月の共同通信社のアンケートによると、件数は46万件に上ることがわかりました。

また、施行された特定秘密保護法について、戦前の治安維持法、軍機保護法との類似性を指摘する声があります。
戦前には当初、「共産主義者に限定する」として制定された治安維持法でしたが、結局2度改定、拡大解釈され、一般人含む10数万人の逮捕者等を出しました。
特定秘密保護法も、今後、官僚が細則で強化することが可能と言われています。

※上記について、自民党は公明党の合意を3月20日に得られたとの報道がありました。先のように、官房長官等によって名誉会長の国会招致などで圧力をかけられているとの情報もありますので、そのままですと、かなり自民党寄りの決定がされることが予想されます。
 
 そして、4月12日の地方統一選の前半戦終了後、安保法制についての自民党、公明党の協議が行われる予定で、こうした公明党への圧力がさらにエスカレートする可能性があります。
 これらの決定が、公明党の将来の集票力にどう影響するのかは未知数です。

政治経済担当より
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